2006-06-28

アメリカを救った方法での実験

伊奈製陶での改善事例が、昨日ご紹介した本の67ページから書いてあります。当時の伊奈製陶で困っていたことは、トイレやお風呂に使うタイルをほぼ均一の寸法に焼き上げようと最新式の窯を輸入してのだがどうもうまく焼けない。窯の位置により温度差がありその結果品質のバラツキが出てしまう。これを何とかしようとしていたのですがどうにもならない、そこで田口玄一先生に改善を依頼したとの事です。
ここで先生がしたのは、調合条件を変えて場所による焼成寸法のバラツキを小さくするということで、狙い値を決めて、場所による温度差のバラツキを小さくするという方法をとらなかったのです。専門用語で言いますと焼成場所をノイズ因子、タイルの調合条件を制御因子と呼び、この二つの因子の組み合わせの作用を交互作用と言うとのことで交互作用に着目して改善をした結果、それまで20%程度あった2級品を0にできたとの事。またこれが問題で、当時タイルを買ってくれた大口の日本住宅公団は、2級品しか買い付けなかったので、これをどうするかでもめて、生産速度を上げて必要な割合の2級品ができるまでスピードを上げて問題を解決したとの事。当然生産数量が大幅にアップして利益に繋がったわけです。阿南窯で品質上の問題があった場合、同じことができるかどうかは分かりませんが、解決できる可能性はあると言えると思います。