2006-05-09

犬坊狂恋を読んで、独創的歴史小説でした

「深見の池掲示板」では、深水さんは授賞式の時はじめて阿南町に来たと書いてありましたが、この本も読んでみて地名の多さと正確さにびっくりします。このブログでもご紹介しましたが阿南町はとにかく地形が複雑で、私はブログでご紹介のため数回歩いたのですがいまだにそらではご紹介し切れません。当然地図や、阿南町誌等は参考にされたと思うのですが、それにしてもです。そしてもう一つ驚いたことは、5月7日に掲載しました、深水さんの[作者より一言]の中で、故井上靖先生が遺された短編小説の佳品「犬坊狂乱」をベースにとありましたが、犬坊については、井上靖先生の「犬坊狂乱」では、17歳に似合わない6尺近い身体で頑丈な胸・・・と書いていますが、「犬坊狂恋」では、全く逆で本当の女性より女らしい優男という人物に書かれています。また、関氏最後の関盛永の死にようは「犬坊狂乱」では、隣村の下條氏が夜討ちを駆けたとき関盛永が犬坊の恋焦がれた下條氏からの人質女性を手篭めにしたところを見て逆上、関盛永を刺し殺したとなっていますが、「犬坊狂恋」では、先の三浦さんの読後感想にもありましたように、関盛永が犬坊を最愛していると思ったもののそうではなかったために、逆上刺し殺したとなっており、犬坊の最後については「「犬坊狂乱」では、白犬にかみ殺されたと有りましたが、「犬坊狂恋」では武士に殺されたとなっていて、全く筋が独自のものとなっています。こう言う独創的な小説になっているところが第2回祭り街道文学大賞受賞につながったのかと思いました。私などならすぐ引用してしまうところです。

このブログをはじめまして、いろいろの人と知り会え、歌舞伎と言う全く興味の無かったことにも興味を持て、そのお蔭で、下條氏、関氏、宗良親王、歌舞伎の一の谷・・・の熊谷直実が、現在天龍村在住の熊谷氏の祖先であったこと、宗良親王を初代天龍村熊谷氏がお連れしたことなど芋づる式に分かってきて知識も増え面白いです。

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